政治は国民の為にあるのではないのか!? 安倍首相が「真珠湾訪問」をどうしてもしたかった本当の理由 余りにも個人の都合に拘り過ぎていないか!?
政治的な話題は人ぞれぞれの立場と、意見があり、従って投稿を控えてきた。しかし昨今の新聞、TVの報道を見ていると、報道すべきことが、抑えられていたり、報道姿勢が「中立を標榜」する割に、一定方向に傾いていたりして、われわれ国民が、知りたいことが余りにも軽視されているような気がする。「政府が右というものを左と言う訳にもいかない」といった、ある意味正直な立場を表明した「報道人」も存在した。そんな中で、近頃の「安倍首相の言動が迷走」している。特にトランプが次期大統領に決まり、首相が未だ1私人であるトランプ詣でをした辺りから、その傾向は激しい。アメリカから「軽率な行動」と指摘され、今月に予定されているプーチン会談も当初の目的とはかけ離れた結果になる公算が強いといわれる。そんな中突如「真珠湾の訪問」が取り沙汰されてきた。この一連の動きの中から、首相の思惑を探ってみる。元『週刊朝日』編集長 ジャーナリスト 山口一臣氏の見解を参考に掲載いたします。
12月6日付の朝刊各紙は1面トップで安倍晋三首相の「真珠湾訪問」を大々的に報じていた。見た瞬間、私は少なからずのある意味のショックを受けた。胸が抉られるような思いに駆られた。このカードをこんなところで切ってくるのか。安倍さんという人は「自らの政権維持や選挙の為なら何でもやる人なんだ」と正直思った。
【領土問題が動かない】
だが、それ以上に違和感があるのは、この日を機に始まった新聞・テレビの「礼賛一色」の報道だ。日本の首相が初めて日米開戦の地で犠牲者を慰霊するのだから、極めて重要なニュースであるのは間違いない。安倍首相が自ら語っているように「日米和解の価値を発信する機会にしたい」という意味もわかる。
だが、報道が伝えるべきはそうした表面的な事だけではないだろう。読者が本当に知りたいのは、いま起きていることの事実関係だけではなく、なぜそれが起きたかという“文脈”(コンテキスト)や背後関係だ。ところが、最近の新聞・テレビの報道では、そうした分析が殆ど見られない。(というか忖度して報道を控えている、敢えて分析や展望を避けているというニアンスが強い)
少し前には、ロシアのプーチン大統領来日が決まり、「北方領土が返還される」かのような報道も見られた。しかし、そのときも、合点がいく“文脈”や分析の報道はなかった。日ロ関係に詳しい一水会代表の木村三浩氏は「領土問題は直ぐには動かないでしょう」とネット上で発言している。
(参考記事:北方領土交渉が一筋縄ではいかない事情)
今回の真珠湾訪問でいえば、例えば、何故いま突然なのか? 戦後の歴代首相が真珠湾訪問(慰霊)を封印してきたのは、それが“謝罪外交”につながると見られたからだ。現職首相の真珠湾訪問は日本政府にとっての重要な“切り札”だ。それを安倍首相はなぜ、かくもあっさり出したのか。東京で手に入る限りの新聞をひっくり返したが、腑に落ちる答えはどの新聞も触れていない。
あえて言うと、今年5月にオバマ米大統領が被爆地・広島を訪れたことの“返礼”の意味合いがあるという判で押したような解説はあった。だが、思い出してみて欲しい。首相はオバマ大統領の広島訪問に際しての記者会見で、「現在、ハワイを訪問する計画はない」ときっぱり否定していたのだ。米大統領の広島訪問は実現したが、原爆投下に対する謝罪はなかったのだから、これもひとつの判断だ。それが何故、わずか半年後に唐突に方針転換したのか。いま伝えるべきは、その“方針転換”の意味するところではないのか。
答えは、容易に想像がつく。11月17日にニューヨークで行われた“異例”の「トランプ・安倍会談」に対する“お詫び”である。安倍首相は米大統領選の直後、世界の首脳に先駆けて次期大統領のトランプとの会談に“成功”した、と伝えられた。この時も、報道が「礼賛一色」だった事を思い出すべきだ。だが、オバマが現職でいるうちの次期大統領への表敬訪問は、外交的に著しく非礼なことだ。だから、どこの国もそんなことにチャレンジしない。「世界の首脳に先駆けて会談に成功した」というのは、そういうことだ。事実当初の礼賛は、各国首脳から「軽率だった」という扱いを受けた。
当然、アメリカの現政権は激怒した。とくにケネディ駐日大使は日本政府に強く抗議したと伝えられる。その結果、APEC首脳会議のために訪れたペルー・リマで11月20日に予定されていたオバマ大統領との日米首脳会談が流れ、たった5分間の立ち話になった。安倍首相は、この立ち話会談で「真珠湾訪問」というカードを切って、なんとか許しを請うたのだ。ホワイトハウスがこれを“歓迎”するのは当然なのだ。そう考えると合点がいく。
さらに考えてほしいのは、そもそもの「トランプ会談」も“お詫び”だったということである。首相は外交政策の目玉として日ロ関係の改善を模索していた。今月15日にはプーチン大統領の来日が予定され、あわよくば北方領土返還への道筋をつけようとしていた。ところが、米オバマ政権は日ロ接近を面白く思っていなかった。そこで、安倍政権はオバマ大統領が悲願とするTPP協定批准を援護射撃することで、日ロを黙認してもらうシナリオを描いた。安倍政権が他国に先駆けてのTPP批准を急いだのはそういう理由だ。
さらに、このシナリオを確実なものとするため、安倍首相は米大統領選挙期間中に一方の候補者であるヒラリーとの会談に踏み切った。先進国の首脳が選挙のさなかに一方の候補者だけに会うのも極めて異例なことだ(首相のやったことは異例の事ばかりだ)。この時点では、安倍首相にとってヒラリーは“次期大統領”そのものだったのだ。
ところが、選挙は予想に反して、トランプの勝利に終わり、当初のシナリオは脆くも崩れ去った。首相は選挙期間中にヒラリーと会談した非礼を詫びる為、急ぎ会談がセットされた。先進国の首脳が、現職の大統領を差し置いて次期大統領と会談するのは“異例”というより“異常”なことだ。だが、このときも報道は「礼賛一色」だった。<これが報道の中立という中身なのだ!>
首相とトランプの会談内容の詳細は明らかにされていないが、「週刊現代」(12月10日号)に「安倍官邸大パニック」の見出しで興味深いエピソードが書かれている。トランプとの会談を終えてリマに乗り込んだ首相は、会う人ごとに「私は数日前に、ニューヨークでトランプとじっくり語り合ったんだけどね」と自慢げに吹聴していた。ところが、安倍首相が現地での記者会見で「TPPは米国抜きでは意味がない」と言い切ったわずか18分後に、トランプ氏がビデオメッセージを公開し、「わが国に災厄を齎す恐れがあるTPPからの離脱の意思を通告する」と宣言する。これを聞いた安倍首相の顔は引きつり、言葉も出なかった、という。
月刊誌「選択」(12月号)は〈それは政権の座に返り咲いてから約4年、安倍政権が掲げる「地球儀俯瞰外交」の大きな柱が崩れ落ちた瞬間でもあった〉と書いた。
だが、こうした事実報道や分析・解説が読めるのは、雑誌ばかりだ。新聞やテレビでは殆ど見られない。15日からのプーチン大統領来日、月末の真珠湾訪問と、また「礼賛一色」に染まるのかと思うとうんざりだ。永田町では早くも「真珠湾解散」などという声すら上がり始めているようだ。
6日配信の日本経済新聞電子版は、〈1月解散風再び 真珠湾訪問、支持率向上の思惑〉というタイトルで、自民党幹部が「真珠湾訪問で支持率も上がるだろう。やるなら1月解散だ」と語ったと伝えている。「オイオイ」と思うのは、私だけではないだろう。
(参考記事:1月解散風再び 真珠湾訪問、支持率向上の思惑)
(参考記事:北方領土交渉が一筋縄ではいかない事情)
- 山口一臣氏profile
- ジャーナリスト(元『週刊朝日』編集長)
- 1961年東京生まれ。ランナー&ゴルファー。早稲田大学第一文学部卒、週刊ゴルフダイジェスト記者を経て大手新聞社へ中途入社。週刊誌記者として11テロを、編集長として3.11大震災を経験する。週刊誌歴約27年。この間、テレビやラジオのコメンテーターなども務める。現在は堅気のサラリーマンとして勤務する傍ら、市民ジャーナリストとして情報発信を続けている。
私見
- しかし特にトランプ会談以降、次から次へと繰り出す「秘策<敢えて言う>」は、深慮遠謀のもと、緻密に外交とやらをやっていれば、次の秘策は必要なかったのではないか!?と思わせる事ばかりだ。 裏を返せば、場当たり的で、深い意味も込めずに、飛びついた結果、「非礼」だの「異例」だのと言った評価が下り、次の「秘策を必要」としたという事ではなかったか!? 真珠湾訪問も、各社の礼賛の中で、行くなら中国の方が先だとか、慰霊ではなく、謝罪するのかとか、そうすれば先の戦争を「侵略戦争と認めることとなる」とか、首相の言動は却って米国の反感を買うとか、ネットでは早くも懸念する声が多く出されている。首相は覚悟が出来ているのか? マタゾロ不調に陥り、次の「秘策のお膳立てを必要」とするのではないか心配になる。
引用・参考元 ヤフーニュース <ジャーナリスト 山口一臣氏 出筆 >
コメント