<‘17年の政界を展望> 波乱の安倍政権最大の死角 強みは一転して弱みにもなる!総理の“3大欲望”とは?
第2次政権発足からすでに4年経過している安倍政権。高い支持率を得て順風満帆な政権運営をしているように映るが、政治アナリスト、伊藤惇夫氏は2017年の安倍政権の行方は波乱を秘めていると見る。
■まずは、政権の看板「アベノミクス」について■
「経済優先を掲げて期待感で国民を繋とめてきましたが、アベノミクスの恩恵を享受しているのはごく一部です。(95%の大多数の国民には恩恵を感じることは無かった)7月の参院選の投票動向や各種世論調査では、無党派層が自民党離れを起こしている。これは、大多数の人たちが景況感を実感していないという表れでしょう」(伊藤氏)
しかも成長戦略の柱と位置付ける、TPP(環太平洋経済連携協定)も米国の撤退宣言で成長戦略の見直しを余儀なくされている。<経済成長の唯一の頼みの綱と位置付けたが、トランプによって意図も簡単に梯子を外されてしまった>
「アベノミクスがこのまま失速すれば、強みは弱みに転じてしまう」(同)
■歴史に名を残したいという欲望■
そして、最大の死角は安倍晋三首相の「欲」だ。伊藤氏によると、総理になると3大欲望を持つといい、一つ目が長く政権の座に就くこと、二つ目は自ら解散に打って出て選挙で勝つこと、そして三つ目が歴史に名を残すことだという。
16年、三つ目の欲を満たそうと安倍首相は日ロ交渉に臨んだが、ロシアの「経済食い逃げ」で終わった。ならば真珠湾慰霊で、歴史に名を残せるか。「負の遺産清算の意義はあるが、外交成果とは言えない。世論への効果も一過性でしょう」(同) というか、領土問題には、1mmたりとも前進はなく、却って封印したとも取れる結果になった。真珠湾訪問でも、防衛相の靖国参拝で、米国は余り快く思っていないような様子も見える。
そこでやはり悲願となるのが憲法改正だ。ただ、17年に解散・総選挙に打って出た場合、実現は微妙だ。「仮に自民が25議席前後負け、公明、維新が現状維持であれば、3分の2を割り込む。先送りが迫られるでしょう」(同) かといって、三つ目の欲を優先させると、今度は長期政権が崩れてしまう可能性があるという。「将来、国民投票に持ち込んでも、緊急事態条項などの改正案は逐条審議。一つでも否決されれば、国民にノーを突きつけられたも同然。その瞬間に内閣総辞職せざるを得なくなる」(同)
さらに、伊藤氏は橋下徹前大阪市長と小池百合子都知事の動きにも注目する。
「安倍首相が橋下氏に期待しているのは間違いない。しかし、橋下氏は政界再編を仕掛け、政権交代を視野に入れている。小池氏は上昇志向が強く、自民党総裁の夢を捨てていない」(同)
一強が続く安倍政権の「終わりの始まりの年」になる可能性もあり得る。
憲法改正も、時代錯誤的な要素が強く、歴史的正当性とは掛け離れているという懸念もある。無理押しすれば、「歴史の歯車を逆に回した」という評価が付く可能性も強い。とすれば、マイナーな面で「歴史に残る宰相」になれるのではないか!
引用・参考元 ヤフーニュース <週刊朝日 2017年1月6-13日号>
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