木質バイオマス発電の温水でトマト栽培を計画/青森県平川市
青森県平川市中佐渡の農地所有適格法人「津軽エネベジ」(奈良進社長)は来年4月から、系列会社が同市で運営する木質バイオマス発電所の温水を活用して高糖度トマトの栽培を始める。冬でも栽培できる仕組みを構築し、地元の未利用材を燃料にした発電事業を農業振興につなげる。現在、栽培施設のハウス2棟の建設に向けて準備を進めている。
津軽エネベジは、発電会社「津軽バイオマスエナジー」(同市)などの出資で今年4月に設立。年内には、エナジー社の親会社である大手環境会社「タケエイ」(東京)と、高糖度トマト生産のノウハウを持つ農業コンサルティングの「銀座農園」(同)がエナジー社に代わって資本参加する。
エナジー社は昨年12月、市内の間伐材やリンゴ剪定枝(せんていし)などを使った木質バイオマス発電所の稼働を開始。今年5月からは、市内の全13小中学校など18公共施設に電気が供給されている。
一方、発電の過程で生じる温水は一部を木質チップの保温に使用してきたが、ほとんどを廃棄しており、タケエイと津軽エネベジが野菜栽培の可能性を模索してきた。
タケエイが高単価での農産物販売が可能な市場を調べる中で、銀座農園に着目。同農園は茨城県、千葉県の畑で糖度12度以上の高糖度トマトの栽培指導に携わるほか、通常のトマトの倍近い価格の1キロ当たり約1200円で東京の小売店、飲食店などに販売している。津軽エネベジは、高糖度トマトの引き合いが強い東京にまずは売り込もうと、販売を同農園に委託。青森県での出荷は事業の進ちょくを見て検討する。
☝ 高糖度トマトを栽培するハウスの建設予定地。右奥が木質バイオマス発電所の冷却塔=平川市中佐渡
今後は、木質バイオマス発電所の冷却塔に隣接する田んぼ約7380平方メートルを来年3月下旬に埋め立て、ハウス2棟を設ける。各棟には、冬でもトマト栽培ができるよう、約40度で排出される温水を温風に変える熱交換器を6台ずつ導入。夏は地下水を使って17度ほどの冷風を送り、室内の温度を調整する。
年間25トン生産し、売り上げは約3千万円を見込む。同4月にはパートを含む従業員8人を市内外から雇用し、事業費はハウス建設費や同農園へのコンサルティング料などを含め約1億3千万円。敷地内には、さらにハウス2棟を増設して別の野菜や果物を生産することも視野に入れる。
奈良社長は「事業が軌道に乗れば地元雇用の受け皿になり得ると思う。販売ルートの確保など準備に苦労してきたこともあり、何とか成功させたい」と話した。
引用・参考元 東奥日報 < toonippo >
画像引用 同上
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