拘留300日にならんとす! 差し入れ書籍から伝わってくる籠池泰典氏の胸のうちを類推する!

 

籠池夫妻は、拘留300日にならんとしている。制約が多く、どんな様子で居るかは、中々伝わってこない。今回は、差し入れられた書籍と、戻された書籍の傍線などから、籠池氏の、心境、胸の内を探ってみようと思う。

 

書籍については当初より制限がなかった。一回につき3冊という条件もほかの拘禁者と同様である。とはいうものの、手紙のやり取りを禁じられていることにより、本に書き込みがないかどうかは厳重にチェックされる。窓口で受け取ってもらえたとしても、もう一度念入りに中身を検査されるようで、突き返されることもある。

 

接見禁止措置がついているため、拘置所の窓口で差し入れた書籍が受取人に届かず、後ほど戻ってくる場合もある。 逮捕直後、鈴木宗男「汚名」、堀江貴文「徹底抗戦」、大坪弘道「勾留百二十日 特捜部長はなぜ逮捕されたか」、田中森一「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」など、特捜部関連の書籍を差し入れた。特捜部に逮捕された人たちがどのような取り調べを受け、どのように感じたのかを知っておいて欲しかったのである。40日に及ぶ苛烈な事情聴取のなか、ふたりが何度も目を通したのは佐藤優「国家の罠」と村木厚子・江川紹子「私は負けない 『郵便不正事件』はこうして作られた」だ。この二冊だけはなかなか宅下げされてこなかったところを見ると、数多く届けた特捜関連書籍のなかでも別格だった様である。

■取り調べが終わった後も読書意欲は旺盛だ■

 

ふたりとも読書の中心は家族が入れた生長の家の聖典「生命の實相」。40巻に及ぶ大著に繰り返し通読しているという。これほど長期間、独房に閉じ込められているにも拘わらず拘禁反応が出ていないのは、精神的にタフなことは勿論だが、信仰を持っていることも大きいように感じている。

 

泰典氏は社会的な書物に食指が動くようだ。なぜなら熱心に読んだものは線を引きまくってあり、興味の在りかが分かるからである。

 

拘置所から戻ってきた本の傍線部を見てみると、泰典氏の気持ちがなんとなく伝わってくることもある。別冊宝島編集部「日本の『黒幕』100の明言」というオムニバス本の中では「詐欺という不名誉な罪で裁かれることは自らの矜持が許さない(許永中)」というところに太々と線が引かれていた。三島由紀夫「若きサムライのために」では「人間の自尊心や誇りを破壊することは、絶対に許せない」という文に、八田隆「勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか」では「国家権力は人ひとりを踏み潰すことなど造作ない」「検察は、公判で被告人を有罪にする調書を作成するためだけに取り調べをする」といった部分にチェックがあることを鑑みると、今回の逮捕勾留が不当なものであると感じているようだ。

保守主義者であるという信念は揺らいでいないと推測される。保阪正康「三島由紀夫と楯の会事件」は「檄文」を中心に線だらけになって返ってきた。天皇についても拘置所から思いを馳せているようで、西尾幹二「保守の真贋」では「信仰心のない宮内庁官僚らによって、天皇の手で行われる祭祀の簡略化がどんどん進められている」「天皇の祈りこそが国民統合の中心であることが忘れられて久しい」といった部分に、NHKスペシャル取材班「日本人と象徴天皇」においては「象徴のある種の中立性っていうのは、やっぱり今の陛下ご夫妻が作り上げた」という箇所にラインが引かれていた。ただし安倍晋三氏については複雑な感情を隠さず、適菜収「安倍政権とは何だったのか」においては「安倍は皇室に対し正気の沙汰とは思えない嫌がらせを仕掛けてきた」「安倍は『保守』ではなく、きわめて危険な極左グローバリストである」といったところに蛍光ペンを走らせている。

 

未来に対する希望は捨てていない。中島岳志「血盟団事件」では中曽根康弘元首相が四元義隆について語っている「牢獄に入って禅に打ち込み、世に対する贖罪の念を抱いたそうです。そして、これからは野にあって、国家のために奉仕しようと決意し、出獄後の人生を送っていたようです」というところに線があった。羽生善治「決断力」では「わたしは『あとはなるようになれ』という意識で指している。どんな場面でも、今の自分を曝け出すことが大事なのだ。『身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ』だ」という文章に傍線が付けられていた。

小学校の創設は諦めざるを得なかったが、教育に携わろうとする意思も失っていない。「フリースクールについての書物を探してくれ」と依頼されたり、「専門学校の設立基準を知りたい」と要望されたこともある。

 

宅下げされてきた本には随所に書き込みの跡があった。しかし、接見禁止が続いているため、わたしの手許に戻ってくる時にはすべて黒塗りされている。

 

「さわやかな美しさが快い」という文言に蛍光ペンが引かれ、その横に泰典氏の書き込み跡が。黒塗りを透かしてみると「真美ちゃんのように」と書かれていた。真美とは諄子さんの本名。夫人への熱い想いが伺える。

 

最近、差し入れを依頼された書物は正岡子規「墨汁一滴」、宮本武蔵「五輪書」といった古典から、橋本健二「新・日本の階級社会」、塚田祐之「その情報、本当ですか?」といったものまでジャンルは幅広く、知識欲は衰えていないようである。

■拡大解釈される接見禁止措置■

 

パンフレット類は差し入れることができることになっている。作家の菅野完氏が責任編集として制作販売している「ゲゼルシャフト」という冊子を窓口に持って行ったところ、かなり長時間待たされたうえ収受に難色を示された。係員は「接見禁止が付いているなかで、こういう内容のものはちょっと……。それに本人が出ているものは入れられない」と言う。

 

籠池夫妻の写真とともに、激烈な検察批判の記事も載っていることで躊躇したのかもしれないが、引き下がるわけにもいかない。

 

「今までも、本人が出ている新聞雑誌類はすべて入っている」と抗弁したところ、

「これは新聞雑誌ではないので」と返してくる。

「この文章を書いている人は伊藤博敏さんと言ってとても有名なジャーナリストです。またこのエッセイは芥川賞作家の柳美里さんのもの。いい加減なパンフレットではなく市販もしています。ダメというのならばまた取りに来るので、いったん預かって欲しい」と言い返す。

「しばらく待ってくれ」と言われ、マニュアルらしきものを繰ったり、同僚の係員たちと協議をしたあと、

「この方が個人で発行しているもので、パンフレットとは見なされない」

と突き返されてしまう。

大阪拘置所の窓口の方々はとても親切にしてくれるので、これ以上文句を言っても気の毒だと思い、この攻防は諦めた。

自宅へ持ち帰り、「入れられない場合は法的根拠を示して欲しい」旨の文書を添えて再度、拘置所に郵送。すると籠池夫妻に届いたのである。

裁判所の命ずる接見禁止措置が現場にて拡大解釈されている一事例といっていいだろう。

 

先日、泰典氏より文部科学省初等中等教育局児童生徒課の作成した「平成28年度『児相生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査』について」という書類を読みたいという依頼があった。早速、PDFを印刷した上、製本したものを持ち込んだのだが、受け取りを拒否される。

接見禁止がついていない場合、ホームページのコピーは受け入れてもらえる筈である。前回のパンフレットの件もあったので、「これはお役所が税金で作った公的な書類である。接見禁止の理由は『逃亡の恐れ、および罪証隠滅の恐れがあるから』ということのはず。なぜ公的な報告書を入れることが、接見禁止理由に抵触するのか理解ができない」と抗議した。

 

籠池夫妻の勾留は280日を越えている。

 

記事・画像 引用・参考元 Yahoo News <赤澤竜也:作家>

https://news.yahoo.co.jp/byline/akazawatatsuya/20180507-00084925/

画像元 yjimage

https://search.yahoo.co.jp/image/search?p=%E7%B1%A0%E6%B1%A0%E5%A4%AB%E5%A6%BB%E9%95%B7%E6%9C%9F%E6%8B%98%E7%95%99&rkf=2&ei=UTF-8&imc=&ctype=&dim=large