会社はいろいろ考える! <長時間労働>過労死につながる「定額残業代」とは

 

「定額残業代」という制度があります。小生が現役の営業の時、事務職と違って、給料明細に「営業手当」なる名目の項目があって、「これはなんじゃいな!?」と聞いたら、「時間外勤務があっても無くても、営業職に対して支払われるモノですよ!」という経理からの回答だった。要するに、営業は外勤に出ているので、厳密に言ったら、時間外勤務なのか、そうでないのか線引きが難しいので、「実際に時間外勤務があったか無かったに拘わらず、月に定額の営業手当を出すから細かいことに拘るな!」と言いたかったらしい。新入社員の時には、8800円くらいだったが3・4年目に12000円となった。因みに初任給は忘れもしない42000円だったから、この営業手当はそれなりに意味があったのかもしれない。文字通り時間外勤務が、ゼロでも、200時間でも一切構わず、定額の手当の支給だった。大体営業職は、計画通りに売り上げが立つ訳ではないから、押しなべて月120時間くらいは、時間外で、会社に拘束された。したがって、事務職の方が、圧倒的に給料は良かった。

 

さてさてそんな残業代を「固定給」的感覚で受け取るのですが、この制度が長時間残業の温床となっているケースが見られるというか、ずばり温床になっています。特定社会保険労務士の井寄奈美さんが事例をもとに解説します。

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◇みなし残業時間を過労死ラインに設定する例も

 

少し前の判例ですが、新入社員の居酒屋店長が、過重労働による心疾患で死亡した大庄事件(大阪高裁、2011年5月25日判決)があります。大庄は「日本海庄や」などを展開する外食チェーンです。新入社員の月給19万4500円のうち7万1300円が、「役割給」の名目で支払われる80時間分の定額残業代でした。<しかしそんな労働環境でありながら、客に対しては、「喜んで・・・!」と注文を取っていた社員が可哀想!>

 

過労死ラインとされる毎月80時間の残業を前提とした賃金設計と、月平均112時間と認定された長時間残業を放置していたことで、会社だけではなく代表者と人事担当役員らの会社法上の責任、不法行為責任も認定されました。遺族に7680万円を支払うよう命じる判決が下されています。

 

通常、会社が社員を雇う時は、所定労働時間分の給料額を示します。残業代は、残業時間に応じて別途計算して支払うのが原則です。会社は社員に残業させると金銭的負担が増えます。この負担を強いることで長時間労働を抑制するのが、本来の法律の意図です。

 

ところが、定額残業代を導入する会社では、社員が一定時間まで残業しようがしまいが毎月の支払額は変わりません。「一定時間」(みなし残業時間)を過労死ラインの80~100時間に設定し、長時間労働を放置しているケースが多々見受けられます。また、「一定時間」をある程度に抑えていても、社員の労働意欲を削いでしまう場合もあります。

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こうした会社では、固定された給与の総額を単純に基本給と残業代に分けて、「給与総額の中に残業代も含まれる」と社員に説明するケースがあります。すると、例えば正社員とアルバイトとの時間給が逆転してしまうことがあります。ある小売りチェーンで実際にこれが起こった事例を紹介します。

 

◇バイトから登用されて時給が減った正社員のケース

 

小売りチェーン店でアルバイト勤務をしていたAさんは、当初時間給950円で雇用されました。1年ほどまじめに勤務したことが認められて時間給は1100円に上がりました。

 

Aさんは残業も積極的にこなし、アルバイトながら月に200時間も働くことがありました。その月は、おおよそ30時間分の割増残業代が支払われ、給料が23万円ほどになることもありました。

 

そんなAさんに会社は正社員への転換を打診しました。月給は24万円。ただし月給には50時間分の残業代が含まれていました。フリーターが長かったAさんは、20代後半になって家族からも定職に就くよう煩く言われていたので、会社の打診を受け入れることにしました。

 

Aさんが社員になって初の給料日。給与明細には「基本給17万5000円、固定残業代6万5000円」と記されていました。アルバイトのときよりも残業をいとわず働いたのですが、それでも給料は毎月固定です。

 

数カ月が経過し、明らかに毎月の労働時間が長くなっているのに給料が増えていないと感じたAさんは、経理職の姉に給与明細を見せて相談しました。すると、時間給がアルバイトのときよりも下がっていることがわかったのです。正社員としての時間給は1030円でした。

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◇アルバイトより低い時給に判然としない思い

 

Aさんはアルバイトの同僚に正社員になったことを自慢げに話しており、仕事帰りの食事で自分が多めに支払うなどしていました。しかし、実は時間給はアルバイトの方が高いことがわかり、呆然としたそうです。

 

もちろん、正社員のメリットもありました。賞与が支給されたり、給料額が安定し生活設計がしやすかったり、家族が喜んでくれたりしたことなどです。ただ、Aさんは「アルバイトより時間給が低い正社員ってどうなんだ?」と、どうも判然としない思いを抱えるようになりました。

 

これまで積極的に引き受けていた残業もできるだけ避けるようになりました。残業しなくても給料は同じだからです。仕事にも興味が薄れてやる気もなくなってしまったそうです。そうしたAさんの変化に会社側も困っています。

 

「定額残業代」の制度自体が悪いわけではありません。社員側は、残業をしてもしなくても一定額を得られます。業務を効率化して早く仕事を切り上げようという意識も働くでしょう。ただ、業種や職種によっては、この制度が長時間労働の温床となったり、社員のやる気をそぐリスクがあったりすることも、考えておく必要があります。

 

この様に、法律上の建前と、実際が「法の趣旨」にそぐわなかったりするのです。労働者を守る風な体裁をとりながら、実際は長時間の労働を強要し、アルバイトの時よりも、給料が減るなどということが実社会では頻発しているのです。現場に近づき実態をつぶさに見ないと判断を誤ります。

 

 

引用・参考元 ヤフーニュース<毎日新聞>配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161128-00000010-mai-bus_all