脳内麻薬が疲労感を高揚感に変えてしまう!ヒトの脳が発達し過ぎた前頭葉のマスキングのせいだ!

脳内麻薬が疲労感を高揚感に変えてしまう!ヒトの脳が発達し過ぎた前頭葉のマスキングのせいだ!

 

ブラック企業という言葉が横行するほど、現在の労働事情は悪途を辿る一方だ。なにせ国会議員の身内が経営する会社が、ブラック企業として社会的に定着するご時世である。斯くして過労死する社員が絶えない!

 

過労死というものが存在するのは、人間の世界だけの話だ。なぜ人間は疲れているのに、其の儘働き続けるのか!? それは脳の仕組みに原因があるという。それは脳が発する「疲れた」というシグナルに対し、他の動物と異なって、「疲労感を隠す(=マスキング作用)」仕組みがあるからです。

 

他の動物には見られないほど発達した前頭葉の作用が関係しているのです。「意欲」や「達成感」を司る前頭葉が、眼窩前頭葉が発する疲労感という警告のアラームをマスキングしてしまうからなのです。実際物事がうまく回り、(疲れてはいるのだが)、達成感や、高揚感を感じて、無理を承知で一層頑張ってしまうという経験は誰でも持っていると思う。

 

長距離ランナーが陥りやすい「ランナーズ ハイ」という高揚感も、また、この疲労感のマスキング作用の一例である。このとき脳の中はどういう事態になっているかというと、エンドルフィンや、カンナビノイドといった「脳内麻薬」と言われている物質が盛んに分泌され、疲労感や痛みを消し去り、逆に快感、幸福感に似た感覚が呼び覚まされるているのだ。しかしこの状態は、疲労を癒すものではなく、危険な状態に陥っているのである。

 

ではどうしたらいいのか!? 仕事が終わり、疲れを発散させるために、酒を飲んだり、スポーツジムに行ったりする人も多いと思うが、それは疲労感を取るという観点から言うと何の役にも立っていないという。疲労した脳に、新たな疲労感を加えるという結果に陥り、一層自律神経の乱れを引き起こすからである。

 

脳疲労を軽減させるためには、副交感神経(リラックスモードを支配する)を優位にして、脳と体の活動を、休息(=修復)モードに変換させることが必要です。このモードに切り替えるコツは、揺らぎ・ゆとりのある生活を心がけることが肝要です。チョットしたことでいいんです。吸気が淀んだ部屋の窓を開けて空気を入れ替える、手を休めて、鳥の鳴き声に耳を傾ける、根を詰めた細かいワークに一息入れ、ちょっと散歩してみるとか、ちょっと変わった環境に身を置いてみるなど、一息ついてみることが副交感神経優位なモードに切り替える契機となるそうだ!

 

長距離運転の場合、運転そのものが体や脳を疲れさせるのではない。同じ姿勢を取り続けることで疲れは発生しているのだ! この場合運転を一時止めて、運転席から出て、大きく伸びをするという事が、「揺らぎ」とか、「ゆとり」に該当する。こういう単純なことであるが、血行を良くし、結果的に脳疲労の回復に効果があるのだという。

 

なにも大挙して温泉旅行に出掛ける必要はない! ちょっとした動作のみで、が副交感神経優位なモードに切り替えることが出来るのである!

 

※日刊ゲンダイ「病気に潜む、脳の異常」シリーズ。東京疲労・睡眠クリニック梶本修身医院長 コラム参照。

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