睡眠は健康を維持するために極めて重要なものである。昨今の社会環境は24時間活動しており、本来睡眠時間に充てる時間に仕事をしている人も多い。睡眠は生体の消耗部分を修復し、次のアクテイブモードに備えるという重要な意味がある。睡眠不足が常態化すると、生体の修復が充分でなくなり健康を害する確率が高くなる。
何かと多忙で、充分睡眠のとれない人が非常に多い。ぐっすり眠りを確保したいなら、食事にも目を向けよう。眠りを確保する方法はいろいろあるが、先ず睡眠コントロール物質である、メラトニンに注目しよう! メラトニンには、脈拍、体温、血圧を下げ眠気を誘導したり、動脈硬化の予防、活性酸素を分解除去すしたり、睡眠を持続させる機能を持っています。したがってこれが生体内で、しっかりと作られ、ちゃんと働いていることが有効な睡眠を得る大前提です。
メラトニンは、夜中から早朝にかけて作られますが、(この時間に起きていると激減)これの生育を促すのは、食事とりわけ朝食が重要な意味を持っているのです。「なんで夜中に生育されるものが、朝食なんだよう!?」と思われるかも知れませんが、メラトニンは「陽が昇り、辺りが明るくなり、日光を浴びることで生成が開始され、朝食で摂った栄養がその材料になるのです。したがって朝食を抜くというのはこの意味で言語道断だという事になってしまいます。朝食は日中の活動をサポートするために「食べる」というイメージを持っている人も多いが、実はより良い睡眠を取るためにあるという意味が大きい。
生体は一定のリズムに則って活動している。起きている時間帯=活動モード☞交感神経優位に働いている。一方眠っている時間帯=修復モード☞副交感神経優位状態。これを交互に繰り返している。この切り替えがスムーズにいっていることが、睡眠のみならず、生体が正常に廻る大前提となる。
メラトニンは、前述したように、光に敏感に反応する。したがって睡眠時は、明かりを完全に消して、真っ暗な状態で眠るのが理想的なのです。500ルックス以下の明るさになると分泌が始まる。もし明かりを点けっぱなしにして寝てしまうと、50%分泌が減るという実験結果がある。睡眠に入ってから3時間が最も分泌が集中する。しっかり寝ているのに疲れが取れないという人は、明かりが点いているところで寝ている可能性が高い。暗くて恐怖を感じるという人は、間接照明にして出来るだけ光量を落とすこと。
アーモンドなどナッツ類に含まれているマグネシウム、カルシウムといった微量要素は、脳神経を落ち着かせ、副交感を優位に切り替えらせるモメントなります。これらの栄養素が不足すると、何時までも脳神経が活動して、アクティブモードが続く、即ち生体修復モードに切り替わりにくくなる。
睡眠に係る栄養指導を行っている、横浜創英大名誉教授則岡孝子氏は、寝る前の食事について次のような指導をしている。①脂肪の多い食物は消化に時間がかる。したがって寝ている間も消化器官が働き続けなくてはならないので、浅い眠りになりがち。眠りの質が落ちるということ。②不溶性食物繊維が多いものも避ける。ゴボウ、サツマイモ、ニラ、タケノコなど。③メラトニンを作る材料となるトリプトファンが多く含まれる赤身肉、赤身の魚、大豆食品、乳製品、バナナ、アボカドなどがおすすめ。④グリシン(魚介類の旨味成分)が多く含まれるホタテ、牡蠣、エビ、イカ、蟹など。グリシンは深い眠りに入るまでの時間を短縮する働きも持っている。(アクテイブモードの時にしっかり体を動かして適当な疲労感を覚えておくことも必要である!☞運動)
食事も、睡眠、運動も生活習慣の重要な要素である。要は生活習慣を正しく回し、夜更かしや、偏食、運動不足を避け、出来るだけ正しい生活をすることが一番の対策となる。無理をする、正常な生活サイクルから逸れるという事が一番いけない。諸悪の根源となる。
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