片頭痛に新治療法 「予兆療法」で頭痛薬いらずになるのか!?

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片頭痛に新治療法 「予兆療法」で頭痛薬いらずになるのか!?

 

 

片頭痛に悩んでいる人は、新しい治療法「予兆療法」が症状軽減につながるかもしれない。11月の日本頭痛学会総会で予兆療法について発表した「かく脳神経外科クリニック」(山口県)の郭泰植院長に聞いた。

 

片頭痛は慢性頭痛のひとつで、「ズキンズキン」「ガンガン」といった激しい痛みが4~72時間続く。吐き気や嘔吐を伴い、仕事や育児などの生活の質(QOL)を著しく低下させる。

 

この片頭痛の薬物治療の基本は、急性期治療と予防療法だ。

「急性期治療では、頭痛発作が始まったらトリプタンや鎮痛薬・制吐剤を服用して痛みを軽減させます。片頭痛発作が月2回以上ある場合や、急性期治療だけでは治療が不十分な場合、β遮断薬やカルシウム拮抗薬などを日常的に数カ月服用して、頭痛発作の頻度を減らす予防療法が検討されます」(郭院長=以下同)

 

片頭痛はさまざまな因子の影響を受けやすい。ストレスや疲労、睡眠不足、月経周期、空腹、アルコールなどだ。さらに気圧、気象、気温、湿度、風、雷などの天候の変化も誘発因子のひとつで、近年は異常気象による片頭痛のコントロール不良も増えている。

 

「異常気象時代の片頭痛にどう対応するかを考えていく中で、行ったのが予兆療法です。急性期治療の薬が不要になった患者さんもいます」

片頭痛の経過は、予兆期、前兆期、頭痛期、回復期に分類される。郭院長は、予兆期に行って頭痛発作の阻止あるいは軽減を目的とする治療戦略を予兆療法と呼ぶこととした。

 

片頭痛の予兆は視床下部や脳幹の機能が関与しており、症状は首や肩の凝り、生あくび、眠気、食欲増進、甘いものを欲す、イライラ、むくみ、だるい、光や音が不快など。前兆期は、キラキラ・ギザギザの光が見えるなどがある。

 

■めまい薬で全患者の86%に効果■

 

郭院長が片頭痛患者334人に予兆と前兆について聞くと、予兆がある人は322人(96%)で「首や肩の凝り」が最多。前兆がある人は39人だった。天候の変化で頭痛発作が誘発される人は236人、めまい症がある人は265人いた。

 

334人中、①予兆あり②天候の影響③めまい症あり――の条件を満たす111人に、めまい症の薬ジフェニドールを予兆期に服用してもらった。気圧の低下を耳の奥にある「内耳」のセンサーが感知して、内耳から脳幹への興奮の伝達で頭痛発作が誘発される。ジフェニドールは、この興奮を調節し、予兆期にて頭痛発作を阻止する。

 

その後に調査を行った73人のうち、「2回に1回以上頭痛発作の出現を阻止」できたのは35人(48%)で、全体の86%に発作阻止の効果が見られた。頭痛の強さも、7割以上で軽減した。

 

予兆療法は片頭痛の予兆を自覚した時のみ行うことが原則。一人一人が予兆期における最適な服用のタイミングを見つける必要がある。まだ周知された治療ではないため頭痛専門医の指導を受けるのが望ましい。

 

「前兆に比べ、予兆はある人が多い。片頭痛に移行する予兆か、それとも一般的な不調かは、頭痛の起こった日時や症状を記録する頭痛ダイアリーで見極められます。予兆療法は頭痛発作を直前に阻止するため、精神的な不安も軽減します。予兆療法、急性期治療、予防療法をうまく組み合わせることで、頭痛をより上手にコントロールできるようになり、薬の使い過ぎが招く薬物乱用頭痛の予防も期待できます」

 

 

記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ

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