森友学園も国有地払い下げ問題について、保守団体から「迷惑」の声 「中国人嫌い」と園児が言う教育の実態も!

この国の行方

森友学園も国有地払い下げ問題について、保守団体から「迷惑」の声 「中国人嫌い」と園児が言う教育の実態も!

 

 

森友学園をめぐる大阪・豊中市の土地取引。そこで名前が上がるのが、安倍政権に近く、改憲を目指す日本最大の草の根保守団体「日本会議」だ。一体、どういう繋がりがあるのか。

 

■連なる日本会議人脈■

学園の理事長、籠池泰典氏は日本会議大阪の運営委員だ。購入した土地にできる「瑞穂の國記念小學院」のサイトに名を連ねる平沼赳夫衆議院議員(自民)は、「日本会議国会議員懇談会」の会長を務めている。この小学校の名誉校長は安倍昭恵氏だった(辞任を表明)。夫の安倍晋三首相自身も日本会議国会議員懇談会のメンバー。政権閣僚の多くもそうだ。

 

日本会議は、宗教団体「生長の家」に依拠した右派学生運動の出身者たちが、事務局の中心メンバーを担っている団体だ。保守運動に関わる複数の組織が集まって1997年に現在の形となった。署名活動や地方議会でのロビー活動をベースに運動している点は、1970年代から受け継がれている。そうして、自分たちが望むさまざまな政策や政治的な運動の実現を後押ししてきた。例えば、「元号法制定」や「首相や閣僚による靖国参拝」。最も力を入れているのが、現在進行中の「改憲運動」だ。

 

■今回の土地取引に関わっていたのか■

 

日本会議大阪は週刊誌報道に対する抗議文で、明確に関与を否定した。「日本会議大阪はこのたびの土地取得に関して、全く関与していないことを表明します」この抗議は、籠池氏が誌上で「日本会議大阪の代表」などと紹介されたことについて出された。内容はこうだ。

同氏は本会の「運営委員」として名前は連ねておりますが、「代表」ではありません。日本会議大阪の役職を持つことをもって、日本会議大阪が、森友学園の土地取得に係わっているかの印象を読者に与えるもので、事実に基づかない記述で記事を掲載することは到底、容認できるものではありません。

 

一方で、日本会議大阪議員懇談会の女性部長を務める大阪維新の会の辻淳子市議は、BuzzFeed Newsの取材にこう明言した。「籠池氏は代表ではありません。日本会議大阪の勉強会などで籠池氏とお会いした覚えはないですし、幹部の方たちに紹介をされたこともありません」2008年に塚本幼稚園で自民党の鴻池祥肇議員が講演会をした際、案内役として付いて行ったことがあるが、それ以外に直接的な関わりはないという。日本会議を「日本を大切にしようとしている、盛り上げようとしている会」と表現する辻市議。今回の一連の問題をどう見ているのか。「教育勅語や天皇陛下を大事にするという方向性は同じだとしても、政治家を使って土地取引をしようとしているわけでしょう。日本会議が関係していると思われたら迷惑です。イメージが悪くなりますよね」

■動機も力もない■

 

日本会議は本当に関与していないのか。ベストセラーとなった「日本会議の研究」の著者で、今回の問題についても早くから調査を進めている著述家の菅野完さんはBuzzFeed Newsの取材にこう語る。

 

「今回の土地取引に、日本会議が関わっているとは思えません。彼らがそれをする動機も、力もない」そう考える根拠としてあげるのが、次のような点だ。「彼らは実直に、極めて真面目に活動をしてきました。また、緩やかなイデオロギーによって、さまざまな宗教団体などがつながってできている組織です。仲間割れするようなお金の話題は、基本的にしません。だからこそ、こういう土地取引のようなことをするはずがない」 これまで様々な政策を実現させてきた「署名活動や、地方議会でのロビー活動」などの手法と今回のケースは明らかに違う、というのが日本会議を長年研究している菅野さんの見解だ。

 

■「愛国保守」で繋がる人脈■

 

籠池氏は、日本会議と自らの関係性について、週刊朝日のインタビューにこう答えている。

「日本会議の教育理念は私が実践していたのと同じだが、こちらが先にやっていた理念、考えは一致しており、一緒に行動している」 前述した通り、日本会議の中枢には、宗教団体「生長の家」が元来抱えていた「ウルトラナショナリスティック」な教義に忠実なメンバーたちがいる。現在「宗教法人生長の家」の本体は、すでにその路線を放棄している。それゆえ、菅野さんは日本会議の中核メンバーを「生長の家原理主義者集団」と表現する。

 

彼らは生長の家創始者・谷口雅春氏に関する雑誌「谷口雅春先生を学ぶ」を発行している。この2004年5月号に、学園理事長である籠池氏の妻・諄子氏が登場しているのだ。

また、その前年には、雑誌にまつわる講演会が、森友学園の運営する「塚本幼稚園」で複数回開かれたこともわかっている。その関係は、いまも続いているようだ。2016年10月、森友学園に「感謝状」を贈呈したとして問題視された稲田朋美防衛相。彼女も「谷口雅春先生を学ぶ会」の講演会に登壇したことがある。これらの関係性を調査してきた菅野さんは、こう結論づける。「籠池氏は、確かに人脈を持っている。ただ、今回の土地取引と関係しているものではありません」日本会議の中枢につながりを持ち、「生長の家原理主義」の思想に心酔してる籠池氏。ただ、それは今回の土地取引との関わるものではないというのが、菅野さんの見立てだ。

 

「籠池氏のようなエキセントリックな人が、社会である一定の地位を保とうとするとき、日の丸や君が代など、愛国心などの大義名分は非常に便利です。そういう人が日本会議に引き寄せられる」そうやって大勢が集った結果、本来の日本会議とは違う動きが周辺で起きているという。「餡まんで例えれば、餡の部分に日本会議の中枢がいて、最近は、ほかの白い部分がどんどんと拡大している。もう、極限まで。その白い部分の中で起きているが、今回の土地取引をめぐる問題だと思っています」

 

■実際の教育に色濃く反映■

 

では、そんな籠池氏が園長を務める「塚本幼稚園」は、いったい、どういうところなのだろうか。教育勅語を園児たちに暗唱させ、運動会で「安倍首相がんばれ」「中国・韓国が心改めるよう」などと宣誓させている姿は、すでに報じられている通りだ。「大人の人たちは日本が他の国々に負けぬよう、尖閣列島、竹島、北方領土を守り、日本を悪者として扱っている中国・韓国が心改め、歴史教科書で嘘を教えないようお願いいたします。安倍首相がんばれ!安倍首相がんばれ!安保法制国会通過よかったです」そんな園に子どもを通わせていたことがある保護者に、BuzzFeed Newsは取材をした。本人たちの強い要望を受け、すべて匿名とする。

 

■保護者の一人は困惑した表情で言う■

 

「なんだか政治じみてる、宗教じみてるなとは感じていましたが……」そもそもなぜ、「教育勅語」や「愛国心」など他園とは大きく異なる教育方針を掲げている幼稚園に、子どもを入園させようと思ったのか。そう問うた際、保護者の見解はみな同じだった。「英語教育や豊富な課外活動、厳しいしつけ、体に優しい給食、かわいいバス。幼稚園の宣伝に出ているものは、むしろ先進的なイメージだったんです。教育勅語ぐらい、目をつむれると。メリットが大きいですから」「さすがに、中国人や韓国人が悪いなんて子どもに言わせているとは思ってはいませんでした。だって、学校法人ですよ。伝統もあるし、まさか変なことをさせるなんて……」教育勅語を毎日読まされること。夏休みの宿題として、五箇条の御誓文を覚えさせられること……。それはまだ、許容範囲だった。「3、4年の辛抱だと思って……」

それ以上のことについて、親たちから見る園はブラックボックスだったという。

 

 

■保護者向けにも講演会■

 

籠池氏の思想が保護者に向けられることも多かった。例えば、安倍昭恵氏が登壇したことで話題となっている「保護者向け教育講演会」。ゲストスピーカーは、錚々たる面々だ。百田尚樹氏、櫻井よしこ氏、田母神俊雄氏、曽野綾子氏……。保守論壇の中心的な人物や、日本会議との関係が深い人たちの名前がずらりと並ぶ。明治天皇の玄孫である竹田恒泰氏の「私の憲法論」を聞いたという母親はこう語る。「3時間くらい昭和天皇の話をされました。ほとんど内容は覚えていませんが。幼児教育の話なんて、一切なかったですよ。椅子も園児用でつらかったです……」

 

講演会にとどまらない。保護者に配られる一見普通の「園長のごあいさつ」にも、こんな文章が書かれていた。「やはり中共から資金援助を受けている政党がまことしやかに日本人の顔をして日本国をそれを構成する日本民族を分断しようと活発に動いています」「日本民族のDNAが日本国にとって良き方向になるよう優れた先人たちの想いが安保法制を通過させることでしょう」

 

副園長(籠池氏の妻)から、手紙に「子どもにコーラやファンタを飲ませたそうですね。韓国人は整形したり、そんなものを飲ませたりしますが、日本人はそんなことをしない」と書かれた母親もいた。一人の母親は、そんな園の様子を「戦前の日本を意識しているようだった」と評する。「女は家のことと子育てをしていればいい、というような価値観もあったんです。子どもが園で泣き出すだけで、副園長から『母親としてどう教育しているんだ』と怒鳴られたこともありました」

 

子ども達は、家でもおもらしをするようになったり、具合が悪いと「ごめんなさい」と泣き出すようになったりした。「当時は、子どもがただ、新しい環境に慣れていないと思っていたんです」動揺を見せる子ども達。だが、園に子どもを通わせている間は、園の方針に反対することはほとんどなかったという。

 

「子ども達への洗脳もあったけれど、保護者もやっぱり、洗脳されていたのかもしれません。いまでも通わせている人たちには、(籠池氏の)『信者』がたくさんいますよ」 PTA会費の不透明さを追及してやめさせられたり、教育方針をめぐって口論となってやめさせられたり。ほかの園に行ってから、「異常さ」を認識したそうだ。

 

■ある母親は、こうつぶやいた■

 

「日本会議だとか、生長の家とか。こんなカルトみたいなところだと知っていたら、最初から入らせなかったのに。あのまま行かせてたら、子どもがどうなっていたのか、分からないですよ」子ども達は染まりやすい。年長になると「中国人が嫌い」というような園児が増えていたという。すでに退園をしている子どもたちも、森友学園の問題を報じるテレビで「教育勅語」が流れると、思わずそちらを振り向いてしまうそうだ。今回取材に応じてくれた保護者のうち、在日コリアン3世の母親は、こう語った。「塚本幼稚園で教育を受けた子ども達が地元の小学校に来るかもしれないと思うと、私の子どもが差別を受けるのではないかと、怖くて仕方ありません」

 

記事・画像 引用・参考元 Yahoo News <BuzzFeed Japan>【BuzzFeed Japan / 籏智広太】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170305-00010000-bfj-soci&p=1

 

 

 

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