今の時代になぜ? 大阪で「手形交換」7倍増の怪現象

 

今、金融界で密かな話題となっているのが、大阪での手形交換の急増だ。昨年3月から急に手形交換額の桁が1桁、切り上がって以降、高止まりしたままとなっているのだ。

 

これを大阪手形交換所統計で見ると、2015年の月次手形交換額は2兆円台だったものが、16年2月に4兆円台に倍増した。だが、驚くのはこれから。翌3月には一挙に14兆円台に跳ね上がり、4月以降は16兆~20兆円台で推移している。結果、15年中に28兆6848億円であった手形交換額は、16年には205兆7941億円まで膨れ上がった。7倍を超す急増ぶりだ。

 

「近年、手形は印紙代負担を軽減する目的や、でんさいネット(電子債権記録機関)の稼働から交換額が減少の一途をたどっている中での急増に驚いている」(メガバンク)という。

 

異常な手形急増はネットでも話題となり、その理由を巡りいろいろな臆測が飛んでいる。例えば、折しも山口組の分裂騒動と絡め反社会的勢力が一部の企業に圧力をかけて手形を乱発させたのではないかといった見立てや、はては手形交換所の入力ミス説まで飛び出す始末。しかし、いまだ真相は藪の中だ。

 

だが、どうやら急増の原因は、「マイナス金利にある様だ」とメガバンクの幹部は指摘する。

 

「当行でも不思議に思い、関西の支店に問い合わせたところ、手形の振り出しは関西地区の市町村などの自治体だった。自治体は余資の運用の一環として、安全・有利な銀行の大口定期に資金を振り向けているが、日銀のマイナス金利政策導入以降、大口定期で運用しても期待する利回りが得られないことから、資金の運用先を変更。その資金の振り分けに手形を使っているようだ」というのだ。

 

日銀がマイナス金利を導入したのは16年2月、大阪の手形交換額が急増した時期とも重なる。ここでもマイナス金利の影響が出ているという訳だ。

全国の手形交換額でなぜ、大阪が抜きんでて増えた理由も、利にさとい大阪ゆえに、機敏に運用先を変えたことが主因だった様だ。

 

 

小林佳樹金融ジャーナリスト プロフィール

銀行・証券・保険業界などの金融界を40年近く取材するベテラン記者。政界・官界・民間企業のトライアングルを取材の基盤にしている。神出鬼没が身上で、親密な政治家からは「服部半蔵」と呼ばれている。本人はアカデミックな「マクロ経済」を論じたいのだが、周囲から期待されているのはディープな「裏話」であることに悩んで40年が経過してしまっ

た。アナリスト崩れである。

 

記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/205719