我が子に敢えて歯磨きを指せなかった埼玉の歯科医師による“実験”!その結果は!?虫歯はどのようにして出来るのか!?
埼玉県熊谷市にある「くろさわ歯科医院」の黒沢誠人院長は“日本最高水準”の歯科医療を実践している。そんな黒沢院長は、歯科医でありながら4人の子供たちに歯磨きをさせなかった。壮大な“実験”に挑んだ理由と結末を直撃――。
実験に踏み切ったきっかけは、管理栄養士・幕内秀夫氏の講座で「伝統食と近代食では虫歯の発生率が違う」という米国歯科医の調査内容を聞いたことだったという。
当時、長女6歳、長男5歳、次男2歳、次女は妻のお腹の中。同じく歯科医の妻との相談の上、「歯磨きは今日からしなくていい」と子供たちに宣言。虫歯ができたらすぐにやめるつもりだったが、一向に虫歯はできず、それぞれの子供が12歳になるまで継続した。
歯磨きの代わりに徹底したのが、日本の伝統食の実践だ。ご飯、味噌汁、漬物が基本。ご飯多め、おかず少なめ。パンは日曜日のお昼のみ。牛乳はやめ、砂糖、油脂は控えめ。おやつは“ハレの日”は何を食べてもよく、“ケの日”は蒸しサツマイモや季節の野菜、干し芋やせんべいにした。
「困ったことといえば、公的な健診。次男の3歳児健診では『こんなに汚れているのに虫歯が1本もないのは不思議』と言われ、付き添いの妻は『ブラッシングの指導を受けてください』としつこく言われたそうです」
■戦前の“純和食”でダラダラ食いを回避■
黒沢氏が実験から得た結論は、子供の虫歯予防で重要なのは「何をどう食べるか」であり「歯磨きの徹底」ではなかった。
黒沢家の子供たちは決まった食事とおやつの時間しか食べ物を口にせず、飲み物も水やお茶を喉が渇いた時だけにするよう心掛けた。
食べ物を口にすると酸が作られ歯の表面のミネラルが溶ける『脱灰』が起こります。それを唾液が中性に戻し、ミネラルが歯に入り込んで虫歯を防ぐ。これを『再石灰化』と呼び、『脱灰→再石灰化』が歯の健康を守るメカニズムになります。このメカニズムを、黒沢家の子供たちは自然に会得していたのです。
脱灰は食べ始めて3~5分で起こるが、再石灰化は食後20~30分経ってから。間食が多いと脱灰の機会が頻繁に起こる。つまり「脱灰の時間が長い=虫歯ができやすい状態が長い」で、虫歯のリスクが高まる。
事実施設に入所している子供たちには虫歯がほとんど見られない。食事の時間が一定で、間食は1回程度で、その他の時間では間食を許していない。
■では、ここに伝統食がどう関わるのか?■
「ダラダラと飲み食いするのが、虫歯に一番なりやすい。砂糖や油が入ったおやつは、ダラダラ食べ続けることができてしまうのが問題です。一方、伝統食は、砂糖や油をほぼ使用しません。血糖値が上昇して満腹感を覚えればそれ以上の食欲を抑えやすく、規則正しい食生活習慣が確立しやすいのです」
伝統食だからこそ、虫歯になりにくい食べ方ができる。長女の佳子さんは現在、歯科医師だ。もっとも、これは子供に限った話で、大人は歯周病の問題があるため、その観点で、歯磨きが必要だという。念のため。
記事・画像 引用・参考元 日刊ゲンダイ <ヘルスケア>
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